家を決めるか、仕事が先か?!

島への移住について

移住のご相談でよくある質問の一つが、「家と仕事、どちらを先に進めればいいですか?」です。
定形の案内としては、「仕事(経済的基盤をどうするか)を先にした方がいいですね」と回答しています。これには2点理由があり、一つは「仕事が決まらないと家が借りられないことがあるから」ということと、小豆島のような域内の賃貸物件相場に差が少ない地方暮らしにおいては、限りなく職住近接できるのがメリットの一つですが、家を先に決めてしまうと「職場まで通勤時間を要する」ことがあるためです。


ただ、こう言ってる私自身はセオリーに反して家を先に決めており(説得力に欠ける…笑)、私のイレギュラーケースから今回はお話します。
私が移住検討していた10年前は、空き家バンクの掲載件数も両町ともに数軒で圧倒的に家が無い状態でした。仕事も決めないとな…と焦りつつも、住居が無ければそもそも転入ができませんので、家探しを最優先事項にせざるを得ない、というかそれしか見えない状況になりました。移住体験施設で仮暮らしをしながら、空き家バンク掲載物件、それ以外の物件と合わせて、全部で10軒近くは見せてもらいましたが、イメージと合わなかったり、改修が結構必要だったり、と決め手に欠ける物件が多く、どんどん滞在日数が過ぎていく。。。
あと数日の滞在で物件と巡り合わなければ、島とのご縁は無かったということで考え直そうと思っていた矢先に紹介されたのが、今の家でした。
運とかラッキーという言葉でも片付けられますが、島に来る度に知り合いが増え、人びととの会話から島の魅力をより強く感じていたので、なんとか暮らしたいという執念にも近い「想い」が結びつけてくれたのかなと思っています。移住までのストーリーは人それぞれかとは思いますが、人との繋がりであったり、自分の熱量の高まりという点はみんな共有する部分なはずですので、これから島へ行くことを検討されている方は、観光スポットに行くことだけではなく、「住んでいる人と話す」ということも積極的に計画に入れることをおすすめします!


最後に、ご自身のスキルや資格、性格、世帯のかたちによっても進め方は様々かとは思いますが、大事なのはご自身をよく知り、自分に合った進め方や速度感を大事にすること。併せて、ご夫婦や子どもさんがいらっしゃるご家庭は、ご家族とよく話すことがなにより重要です。
そういった「大事なことが何か?」に気付かせてくれるきっかけを得ることが「移住」の一番のメリットだと思います。

大塚 一歩

1975年東京都三鷹市生まれ。2012年4月に夫婦で香川県小豆島に移住。
島内企業へ就職後、2016年4月NPO法人トティエ理事就任、2017年4月より同事務局長兼任。現在、妻と長男、島で出会った保護犬と一緒に暮らしてます。

関連記事