高齢の方の地方移住について

その他 島への移住について

高齢の方の地方移住について

こんにちは!小豆島・豊島の移住相談窓口、NPO法人トティエの大塚です。
今年はテレビや各メディアで小豆島・豊島が取り上げられることが多く、4~5月で昨年よりかなり多いお問い合わせをいただいています。
中でも、高齢の方からのお問合せも一定数あり、その多くが「地方移住に興味はあるけど、実際にできるのか」といった内容ですので、今回はそのテーマで投稿をしたいと思います。

まず、歳を重ねいろんなご経験をされてきた方に小豆島や豊島を選んでもらえるということはとても嬉しいですし、その大きな挑戦を応援し寄り添っていきたいという想いがある反面、都市部と比べて誰でも彼でも合う環境では無いということも、私自身丸12年生活してきて感じるところです。
地方の自然環境やゆったりとした生活リズムを魅力的と感じて、移住検討されているかと思いますが、生活環境がガラっと変わる小豆島や豊島への移住においては、現実的な要素をしっかりと確認して移住検討することが大事な点です。今回は、2016年から移住相談対応をしている経験を踏まえ、移住を考える際に重要なポイントを詳しく説明します。

1. 行動範囲の制約

地方では公共交通機関の利用が都市部に比べて限られています。高齢の方に限らずですが、車を持たない生活をする場合、行動範囲が大幅に狭まるので、地域の交通機関の現状把握や、そうなった場合にどういった生活になるのかのシミュレーションは欠かせません。例えば、バスの場合は1日に数本というエリアもありますし、タクシーについては都市部のような流しだったり商業施設に待機している車はありませんので、ほとんどが都度電話して来てもらうことになります(ちなみに深夜のタクシー運行はありません)。
バスの運行頻度が少ない地域や徒歩圏内に必要な施設が揃っていない地域が大部分ですので、自転車や徒歩での移動が中心となる場合、毎日の生活がやっていけるかに加えて天候や健康面の問題が発生したときのことも考えておいた方が安心です。地方では、車の所有が前提の部分がどうしてもありますので、日常の買い物や病院への通院など、気になる点は事前に確認し、移住体験施設等を利用して「暮らすかも」の目線でチェックしておきましょう!

2. 賃貸物件と収入

賃貸物件を希望する場合、収入の審査があります。都市部と同様に、賃貸物件の契約には収入の証明になるものが必要です。現実的には固定収入がない場合や年金のみの場合、契約が難しいケースが多いです。また、小豆島・豊島では流通している物件自体が限られているため、希望に合った物件を見つけるのが難しいこともあります。
・家賃
・希望
・時間
上記3要素が家探しの際の重要な要素で、なおかつ相反しあう要素になります。
例えば、家賃が安い物件が優先事項であれば、希望を下げるか、探す時間・労力をかけないと難しく、希望に叶う物件というのが最優先要素であれば、家賃を上げるか、探す時間・労力をかける必要があります。
地方、特に離島である小豆島や豊島の賃貸物件は都市部と比べて多様ではなく、供給量や選択肢が限られているため、理想的な住居を見つけるには、基本的には時間と労力はかかるという前提のもと進めていただいた方がいいかと思います。

3. 医療体制の現状

地方の医療体制は都市部ほど充実していないことが多いです。特に、島内の医療体制は限られており、専門医がいない場合や設備が対応していないことがあります。現在、定期的に病院に通っている方や持病を持っている方は、今住んでいる場所に居続けることが正解かもしれません。緊急時の対応や定期的な健康管理が十分に行えるかを事前に確認することが重要です。医療機関が少ない地域では、重度の病気やけがの際に適切な治療を受けることが難しい場合があるため、健康面でのリスクをしっかりと評価する必要があります。

4. 長期的な健康状態

今は健康でも、10年後も同じ状態である保証はありません。将来的な健康リスクを考え、移住後も適切な医療を受けられるかどうかを確認することが重要です。健康面でのリスクを最小限に抑えるために、移住先の医療施設や介護サービスについての情報収集を行い、必要に応じて計画を立てることが求められます。特に高齢の方の場合、突然の体調変化に対応できる体制が整っているかどうかが、移住先選びの重要なポイントとなります。

5. 人間関係の構築

地方では人との距離感が近いと言われ、実際もその側面は強いですが、大前提として人間関係が構築できている人同士の話です。地域に溶け込むためには、自分から積極的にコミュニケーションを取ることが求められます。相手からの接触を待つだけではうまくいきませんし、地域の行事や活動にも参加し、まずご自身を知っていただく努力は不可欠だと思っていただいた方がよいです。特に高齢の方の場合、新しい環境での孤立を防ぐために、人間関係の構築が重要です。島での暮らしでは、地域社会の一員として受け入れられるために、自ら積極的に地域活動に参加し、地元の人々との交流を深めましょう!

6. 現実的な判断

地方移住を考える際、理想だけでなく現実的な側面も重視することが必要です。インターネットや書籍だけでなく、実際に現地を訪れて生活環境を確認し、人々の話を聞くことが重要ですし、何度も訪れて、本当に自分がその地で暮らせるかどうかを見極めることが大切です。住み慣れた環境を離れることには大きな勇気が必要で心配も積み重なってきますが、その心配を解消していくためにも冷静に判断していくことは必要です。理想的な生活を描くことは重要ですし、ポジティブな要素から移住に向けて熱量を維持していくことも大事が、その理想が現実とどれだけ一致するかをしっかり見極めましょう!

 

地方移住のメリットとしては、自然豊かな環境や静かな生活リズム、地域の人々との温かい交流があります。しかし、一方のデメリットとしては、医療や交通の不便さ、賃貸物件の少なさ、最初の人間関係構築の難しさなどがあるのは事実です。これらのメリットとデメリットをしっかりと理解し、冷静に判断していきましょう。
加えて、ご自身の性格やご家族の状況・希望もありますので、ベストな進め方や判断のポイントを検討初期に見いだせるとスムーズに検討できることもあります。
高齢の方の地方移住は、新しい生活を始める素晴らしい機会ですが、現実的な準備と慎重な判断が必要です。今の生活をゼロにする覚悟で、メリットとデメリットを冷静に見極め、理想だけでなく現実も踏まえて移住を検討してください。現地での生活が楽しく充実したものになるよう、事前の準備をしっかりと行うことが重要です。何かご不明な点があれば、移住相談窓口のNPO法人トティエがいつでもご相談を承っていますので、お気軽にご連絡ください!

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大塚 一歩

1975年東京都三鷹市生まれ。2012年4月に夫婦で香川県小豆島に移住。
島内企業へ就職後、2016年4月NPO法人トティエ理事就任、2017年4月より同事務局長兼任。現在、妻と長男、島で出会った保護犬と一緒に暮らしてます。

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