豊島で出会った言葉が、暮らしの見え方を変えてくれた

島ぐらしダイアリー


小豆島のすぐ隣なのに、まるで別の島だった。豊島を訪れて感じたこと…
先日、地域おこし協力隊の方への取材のため、豊島を訪れました。
小豆島からフェリーでわずか20分ほど。距離だけを見れば「すぐ隣の島」です。
しかし、実際に歩いてみると、その印象は大きく変わりました。同じ瀬戸内海に浮かぶ島でありながら、暮らしや歴史、人々の価値観まで、小豆島とは異なる魅力を持つ島だったのです。

豊島はどんな島?

豊島(てしま)は香川県土庄町に属する人口約700人の島です。
世界中から人が訪れるアートの島として知られ、瀬戸内国際芸術祭をきっかけにその名を知った方も多いのではないでしょうか。
島内には美術館やアート作品が点在しており、自転車や徒歩でゆっくり巡りながら、景色と作品を一緒に楽しめるのが魅力です。
一方で、この美しい景色の裏側には、忘れてはならない歴史があります。

島の未来を変えた歴史

1970年代から1990年代にかけて、豊島では産業廃棄物の不法投棄という深刻な問題が起こりました。
長い年月をかけて島民の方々が声を上げ続け、環境の回復に取り組んできたことで、現在の美しい豊島があります。
その歴史を知ってから島を歩くと、アート作品も単なる観光資源ではなく、「島の再生」や「未来への希望」を象徴する存在のように感じられました。島全体にアートが溶け込み、多くの人の思いや願いが積み重なって今の豊島があることを実感しました。

小豆島とはまったく違う暮らし

私は現在、小豆島で暮らしています。そのため、豊島では自然と二つの島を比べながら歩いていました。
最も驚いたのは、生活環境の違いです。

小豆島にはスーパーやコンビニがあり、日常生活に必要なものは比較的そろっています。
一方、豊島にはスーパーはなく、地域の商店が暮らしを支えています。店先には地元で採れた新鮮な野菜が並び、島らしい温かさを感じる一方で、扱っているのは日々の暮らしに必要な最低限の食料や日用品が中心です。
そのため、島民方によるとフェリーで高松や小豆島へ買い物に出かけることも多いそうです。

こうした違いの背景には、島の規模があります。小豆島の人口がおよそ2万5千人なのに対し、豊島は約700人。
人口だけを比べても大きな差があります。実際に島を歩いてみると、その数字以上に違いを感じました。
流れる時間の速さや人との距離感、暮らしのリズムまで、小豆島とはまったく異なる空気が漂っています。
フェリーでわずか20分。すぐ隣にある島でありながら、ここまで暮らしの形が違うことに、大きな驚きを覚えました。

「不便を人間の工夫と知恵で便利に変えていく」

今回の取材で、地域おこし協力隊の方がお話しされていた言葉があります。

「不便を人間の工夫と知恵で便利に変えていく。」

この言葉が、今回の取材で最も印象に残りました。
便利なものが身近にある生活では、不便を「なくす」ことが当たり前になっています。
しかし豊島では、今ある環境を受け入れ、その中で暮らしやすくするための工夫を重ねながら人と人が手を取り合って生活している。その考え方が、この一言に表れているように感じました。
原始的とも言える考え方ですが、それは決して昔に戻るということではなく、人が本来持っている知恵や創意工夫を大切にする、とても力強い生き方なのだと思います。
便利さだけでは測れない豊かさが、この島にはあるのかもしれません。

島を知ると、見え方が変わる

取材を終えて感じたのは、「島」という一言では、それぞれの魅力を語れないということです。
小豆島には小豆島の暮らしがあり、豊島には豊島だからこその歴史や文化、そして人々の知恵があります。
距離は近くても、歩んできた道が違えば、育まれる暮らしも違う。
だからこそ、瀬戸内の島を訪れるときは、一つの島だけでなく、それぞれの島を比べながら歩いてみるのも面白いかもしれません。

今回の豊島での取材は、島の魅力だけでなく、人の「暮らしとは何か」「便利さとは何か」を改めて考えるきっかけになりました。

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